昨今、若い世代を中心に根付きつつある『本物志向』。
昨年夏、福岡県のキューサイと関家具が共同で実施した『家具のSDGs実態調査』によると、20代のうち74%が家具の再利用やメンテナンスに関心があると回答したそうです。
大量生産・大量消費の時代を経て、今、多くの人々が“使い捨て”や“流行りもの”ではない、質の高いものを長く大切に使うという暮らし方に価値を見出しているようです。
良質な素材でつくられた家具は、使い込むほどに味わいが増していきます。無垢材や本革は年数と共に艶を帯び、真鍮は手で触れるたびに深みのある風合いに変化します。
こうした本当によいものを、手入れしながら使い続ける。素材の色や感触の変化を楽しみ、必要に応じてメンテナンスをしながら、何十年と。
そういったスタイルが今、「かっこいい」と若い世代から支持されています。
この『本物志向』という考え方は、リノベーションにも通じるものがあります。
大量生産された住宅ではなく、厳選された素材を使い、住む人の想いとこだわりが詰まった、職人の手による住まい。
傷がついたら、直す。汚れたら、磨く。
完璧に整った“新しい状態”ではなく、暮らしの記憶が刻まれた“変化する美しさ”を堪能し、“自分らしい時間”を積み重ねてゆく。
本物志向というスタイルは、私たちに“消費”ではなく“手入れ”という新しい楽しみ方を提供してくれます。自分の手で住まいを磨き、愛着を持って接することで、住まいとの関係性も、家具との付き合い方も、きっとより深いものになっていくはずです。
また、本物志向の高まりは、住空間のデザインにも変化をもたらします。
良質な家具やインテリアを引き立てるためには、主役となる要素を邪魔しない、シンプルで上質な空間が必要です。
本物を見極め、長く付き合っていく暮らし方は、一時的な流行を追い求めるよりも、はるかに深い満足感をもたらしてくれるのかもしれません。
そして、そのような価値観に基づいた住まいは、次の世代へと受け継がれていく本当の意味での『資産』となるのではないでしょうか。
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