暮らしのお役立ち情報

リノベーションで耐震性を高める方法とは?

  • リノベーション
  • 耐震

目次

福井県は日本海側に位置し、1948年の福井地震では甚大な被害を受けた歴史があります。近年は全国各地で大規模地震が頻発しており、「自宅の耐震性が心配」という声も増えてきました。築年数が経った住まいでも、リノベーションと同時に耐震補強を行えば、現行基準を超える耐震性能を手に入れることができるのでしょうか。
耐震等級の基本から具体的な補強方法、費用の考え方、活用できる補助金まで、福井で安心して長く暮らすための知識をまとめていきます。
リノベーションをご検討中の方、築年数が経っているご自宅の耐震性に不安のある方は、ぜひ参考にしてください。

 

なぜ今、リノベーションで耐震補強が求められるのか



築年数が経過した住まいをリノベーションする際には、間取りやデザインの刷新だけでなく、建物の"構造"にも目を向けることが大切です。特に福井県のような積雪地域では、屋根荷重への対応と地震対策を同時に考える必要があります。
リノベーションは壁を開け、床を剥がすからこそ、普段見えない壁や床下の状態を確認できる絶好の機会。構造躯体の劣化や接合部の状態をしっかりと確認し、耐震補強も同時に行うことで、安心と快適を両立した住まいを実現できます。

関連記事:地震に備える、二段構えの心得

 

日本の地震リスクと福井県の特性

日本は世界有数の地震大国であり、いつどこで大きな揺れが起きてもおかしくありません。福井県も例外ではなく、1948年の福井地震(M7.1)では3,700名以上の方が犠牲になりました。2024年の能登半島地震でも北陸地方は大きな影響を受け、改めて地震への備えの重要性が浮き彫りになっています。
南海トラフ地震の発生確率も高まる中、「いつか来る」ではなく「必ず来る」という意識で備えることが求められています。
(参考)災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 1948 福井地震|内閣府 防災情報のページ
(参考)令和6年能登半島地震アーカイブ 震災委の記憶 復興の記録|石川県

 

熊本地震が明らかにした"現行基準の限界"

2016年の熊本地震では、建物の被害状況について詳細な調査が行われました。国立研究開発法人建築研究所の報告によると、建築時期によって被害の程度に大きな差が見られます。
 
建築基準 倒壊・崩壊・大破 無被害
旧耐震基準(〜1981年5月) 46% 5%
新耐震基準(1981年6月〜) 18% 20%
2000年基準以降 6% 61%

注目すべきは、新耐震基準を満たしていても18%が大きな被害を受けたことです。さらに衝撃的だったのは、耐震等級2の住宅でも倒壊した事例があったという事実でした。"基準を満たしているから大丈夫"という認識では不十分であることが、この地震で明らかになっています。
(参考)平成28年熊本地震の建築物被害調査と原因分析を踏まえた課題について|国立研究開発法人建築研究所

 

耐震基準と耐震等級の基本を押さえる



リノベーションで耐震補強を検討する前に、まず耐震基準と耐震等級の内容と、それぞれの違いを理解しておきましょう。自宅がどの基準で建てられたかを把握することで、どの程度の補強が必要かが見えてきます。
(参考)住宅・建築物の耐震化について|国土交通省

 

旧耐震基準・新耐震基準・2000年基準の違い

日本の耐震基準は、大きな地震を経験するたびに改正が繰り返されてきました。そのため、建築時期によって内容が異なります。
 
旧耐震基準(〜1981年5月) 震度5程度の地震を想定しており、震度6以上に対する明確な規定がない。この時期に建てられた建物は、現行基準を満たしていない可能性が高い。
新耐震基準(1981年6月〜) 震度6強〜7クラスの地震でも倒壊しないレベルを求めるもの。ただし、接合部(柱と土台、柱と梁のつなぎ目)に関する基準は曖昧。
2000年基準(2000年6月〜) 阪神・淡路大震災の教訓を受け、接合部の金物や地盤調査が義務化。現在の木造住宅の基準となっている。
 
建築確認済証や登記簿で建築時期を確認すれば、自宅がどの基準で建てられたかがわかります。

関連記事:リノベーションにあわせ住宅の耐震化を!

 

耐震等級1・2・3の違いと目指すべき水準

耐震等級は『住宅の品質確保の促進等に関する法律』(品確法)に基づく指標で、等級が高いほど地震に強い建物であることを示します。
 
耐震等級1:建築基準法で定められた最低限の耐震性能で、一般住宅のベースラインです。
耐震等級2:等級1の1.25倍の強さで、学校や病院などに求められる水準です。
耐震等級3:等級1の1.5倍の強さで、消防署や警察署など、災害時の拠点となる建物に求められる最高水準です。
 
熊本地震では耐震等級2の住宅も倒壊したことから、長く安心して暮らすなら等級3を目指すべきという考え方が広まっています。予算との兼ね合いもありますが、リノベーションであっても適切な補強を行えば耐震等級3相当の性能に引き上げることは可能です。

 

耐震診断の評点とその見方

耐震診断では、建物の耐震性能を「評点」という数値で表します。
 
評点 判定
1.5以上 倒壊しない
1.0〜1.5未満 一応倒壊しない
0.7〜1.0未満 倒壊する恐れあり
0.7未満 倒壊する可能性が高い

評点1.0が現行基準(耐震等級1)相当、評点1.5が耐震等級3相当にあたります。診断を受けることで、どこをどの程度補強すればよいかが明確になり、補助金申請にも必要となるケースが多いです。

 

リノベーションで行う耐震補強工事の種類


耐震補強は「基礎」「壁」「柱・接合部」「屋根」の4つの部位に対して行います。それぞれの工事内容と効果を理解することで、自宅に必要な補強がイメージしやすくなります。

 

基礎の補強|建物を支える“根”を強くする

旧耐震基準の時代に建てられた住宅は、鉄筋が入っていない「無筋コンクリート基礎」であることが多いです。基礎が弱いと、いくら上部構造を補強しても効果は半減してしまいます。 

主な補強方法

        抱き基礎(添え基礎)補強:既存の基礎に沿って新たな鉄筋コンクリートを増設し、一体化させる方法です。

        ひび割れ補修:エポキシ樹脂を注入してひび割れを塞ぎます。

        アンカーボルトの設置・増設:土台と基礎をしっかり緊結します。

 建物の""である基礎の状態を確認することが、耐震補強の第一歩となります。

 

壁の補強|耐力壁と筋交いで水平力に備える

地震の横揺れに対抗するのが「耐力壁」の役割です。壁の量が足りなかったり、配置のバランスが悪かったりすると、建物がねじれて倒壊の原因になります。

主な補強方法

        構造用合板の増設:既存の壁に構造用合板を張り付けて強度を上げます。

        筋交いの追加・補強:斜めに入れる部材で壁の強度を高めます。

        耐震金物による固定:筋交いと柱・土台をしっかり緊結します。

壁の強さは「壁倍率」という数値で表され、筋交い(30mm)を入れると4.2倍、構造用合板で補強すると2.5倍程度。この数値をもとに、必要な壁量を計算していきます。


柱・接合部の補強|金物で“抜け”を防ぐ

地震の揺れで柱が土台から抜けてしまうと、建物は一気に倒壊へと向かいます。2000年基準で接合部の規定が明確化されたのは、阪神・淡路大震災でこの「柱の引き抜き」が多くの被害をもたらしたからです。

 主な補強方法

        ホールダウン金物の設置:柱と基礎を直接つなぎ、引き抜きを防ぎます。

        柱頭・柱脚金物の取り付け:柱と梁、柱と土台の接合部を補強します。

        柱の交換:シロアリ被害や腐朽がひどい場合は部材そのものを入れ替えます。

 見えない部分だからこそ、リノベーションで壁を開けたときにしっかり確認しておきたいところです。
 

屋根の軽量化|重心を下げて揺れを抑える

重い屋根は、地震時に建物を大きく揺らす原因になります。振り子を想像するとわかりやすいですが、おもりが重いほど揺れは大きくなります。

 主な補強方法

        軽量金属屋根への葺き替え:従来の瓦屋根から軽い素材に変更します。

        防災瓦・軽量瓦への変更:瓦の風合いを残しつつ軽量化を図ります。

 福井県のような積雪地域では、雪荷重とのバランスも考慮する必要があります。屋根の軽量化だけで耐震性が大幅に向上するケースもあり、費用対効果の高い工事といえます。

耐震補強リノベーションの費用を左右する要素



耐震補強にかかる費用は、建物の状態や補強の範囲によって大きく異なります。正確な費用を把握するには耐震診断を受け、その結果をもとに見積もりを取る必要がありますが、まずは費用に影響する要素を知っておきましょう。
 

築年数と建築時期による違い

耐震補強の費用は、建物がいつ建てられたかによって大きく変わります。旧耐震基準(19815月以前)の建物は、基礎・壁・接合部のすべてに手を入れなければならないケースが多いです。2000年基準以降の建物であれば、部分的な補強で済むこともあります。建築時期によって必要な工事範囲が異なるため、まずは耐震診断で現状を把握することから始めましょう。

 

補強が必要な部位と範囲

すべてを補強するのか、弱点となっている部分だけを補強するのかで、費用は大きく変動します。また、建物の規模(延床面積)や形状(総二階か、複雑な形状か)によっても工事のボリュームは変わってきます。耐震診断の結果をもとに、どこまでの性能を目指すかを専門家と相談しながら決定しましょう。

目指す耐震性能のレベル

現行基準を満たす「評点1.0」を目指すのか、より安心な「評点1.5(耐震等級3相当)」を目指すのかによっても費用は変わります。評点が高いほど補強箇所が増え、工事費用も上がる傾向にあります。ただし、長期的な安心や地震保険料の割引、資産価値の維持を考えると、どこまで投資するかは慎重に検討したいところです。

リノベーションと同時施工でコストを抑える

耐震補強だけを単独で行うと、壁や床の解体・復旧に別途費用がかかります。しかし、リノベーションと同時に行えば解体工事を共有できるため効率的。足場の設置も一度で済み、工期も短縮できます。「耐震補強もやりたいけど費用が心配」という場合こそ、リノベーションのタイミングで一緒に工事することをおすすめします。

活用したい補助金・減税制度など



耐震補強には国や自治体の支援制度が用意されているため、これらを上手に活用することで費用負担を大幅に軽減できます。
(参考)補助金・支援制度について|国土交通省

自治体の耐震化に関する補助金

多くの自治体では、耐震診断や耐震改修に対して補助金を設けています。福井県内でも、木造住宅の耐震化に関する補助制度を各市町村が実施しています。補助額や条件は自治体によって異なるため、お住まいの市町村窓口や福井県のホームページで最新情報を確認してください。
» 木造住宅の耐震化に関する補助制度について|福井県

 

所得税の特別控除(投資型減税)

昭和56531日以前に建築された住宅で耐震改修を行った場合、所得税の控除を受けられます。

        10%控除:標準的な工事費用相当額(上限250万円)

        5%控除:上限を超えた部分および併せて行う増改築等工事(上限あり)

        適用期限:令和7年(2025年)1231日まで

住宅ローンの有無に関わらず利用できるのが特徴です。
» 耐震改修に係る所得税額の特例控除|国土交通省

 

固定資産税の減額措置

一定の耐震改修工事を行うと、翌年度の固定資産税が1/2に減額されます。

        対象198211日以前から所在する住宅

        条件:工事費用50万円超

        適用期限:最新情報の確認が必要

住宅ローン控除との併用も可能なため、複数の制度を組み合わせて活用したいところです。
» 耐震改修に係る固定資産税の減額措置|国土交通省

 

耐震補強リノベーションを成功させるポイント


耐震補強は見えない部分の工事だからこそ、信頼できるパートナー選びが重要になります。専門家の目でしっかりと診断することが、長く安心して暮らすための第一歩です。後悔しないために押さえておきたいポイントを整理しました。
 

まずは、行政の補助事業である耐震診断を実施

現状を正確に把握してから計画を立てることが基本です。診断結果があれば、優先すべき補強箇所が明確になり、見積もりの精度も上がります。自治体の補助を受けられる耐震診断は費用負担も少なく、補助金申請の際にも診断結果が必要となるケースが多いです。

耐震診断士が所属する会社を選ぶ

耐震等級3相当を目指すなら、許容応力度計算に対応できる技術力が必要です。「評点1.5以上」の報告書を作成できるか、建築士が在籍しているかを確認しておきましょう。診断から設計、施工まで一貫して対応できる会社であれば、計画もスムーズに進みます。

リノベーションと同時に計画する

壁や床を解体するリノベーションのタイミングは、構造を確認し補強するベストな機会です。間取り変更と耐震補強を一体で設計することで、無駄のない計画が立てられます。将来の暮らし方も見据えながら、長く安心して住める家づくりを目指しましょう。

福井の気候風土を理解した会社を選ぶ

福井県は積雪地域であり、屋根にかかる雪荷重への配慮が欠かせません。また、湿気の多い環境ではシロアリや腐朽のリスクも高く、耐震対策と合わせて対処する必要があります。地域の気候風土や建物事情に精通した会社に依頼することで、より確実な耐震リノベーションが実現します。

まとめ

リノベーションは、住まいの耐震性能を見直す絶好の機会です。旧耐震基準や新耐震基準で建てられた住宅でも、適切な補強を行えば耐震等級3相当の強さを手に入れることができます。
大切なのは、まず耐震診断で現状を把握し、構造を理解した専門家と一緒に計画を進めること。補助金や減税制度も活用しながら、福井の地で安心して長く暮らせる住まいを実現しましょう。

 耐震リノベーションをお考えなら、地元福井の気候風土を知り尽くした永家舎へ。診断から設計、施工のことまでワンストップで対応可能なので、まずはお気軽にご相談ください。永家舎では、耐震と制震を組み合わせたリノベーションで、より安心な住まいづくりをサポートいたします。

 関連記事:永家舎の耐震+制震リノベーション

暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション
  • 耐震

暮らしのお役立ち情報

2026年02月05日

建築デザイナー
リノベーションで耐震性を高める方法とは?
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション

暮らしのお役立ち情報

2026年01月25日

建築デザイナー
どこから始める?リノベーションの進め方と住宅ローン
暮らしのお役立ち情報
  • 断熱

暮らしのお役立ち情報

2026年01月15日

建築デザイナー
コスパ抜群!家の一部を断熱リフォームで快適に。その効果は?
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション

暮らしのお役立ち情報

2026年01月05日

建築デザイナー
リノベーション見学会・相談会の役割と活用法【総まとめ】
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション
  • 間取り

暮らしのお役立ち情報

2025年12月25日

建築デザイナー
「2階をなくす」という選択。暮らし広がる平屋リノベーション。
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション

暮らしのお役立ち情報

2025年12月15日

建築デザイナー
比較してわかる、信頼できるリノベーション会社の選び方
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション
  • 費用

暮らしのお役立ち情報

2025年12月05日

建築デザイナー
リノベーションはいくらかかる?費用相場と賢い予算の立て方
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション
  • 間取り
  • 暮らしを楽しむ

暮らしのお役立ち情報

2025年11月25日

建築デザイナー
リノベーションでワークスペース革命!【事例付き】
暮らしのお役立ち情報
  • リノベーション
  • リフォーム

暮らしのお役立ち情報

2025年11月15日

建築デザイナー
リノベーションとリフォームの違いを徹底解説|どちらを選ぶべきか専門家が解説

SNSで最新情報を発信!

FOLLOW US ON Instagram

FOLLOW US ON FACEBOOK