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リノベーションはいくらかかる？費用相場と賢い予算の立て方
2025/12/5
古くなった家を「直す」のではなく、「これからの暮らしに合わせて整える」。リノベーションは、そんな"再設計"の住まいづくりです。ただし、最初に気になるのはやはり「いくらかかるのか」という点。新築とも建て替えとも違う、リノベーション特有の費用感は把握しにくく、「思っていたより高くなった」「予算が足りなかった」という話もよく耳にします。費用相場の考え方、建て替えとの違い、ローンや補助金制度、そして永家舎が考える"価値あるお金の使い方"について、一緒に考えてみましょう。
リノベーション費用の「基礎知識」
まずは、リノベーションの意味と価値を正しく理解しましょう。それが、適正な費用感を掴む第一歩となります。
リノベーションとは？
リノベーションは、住まいの性能・間取り・意匠を再設計する改修工事のこと。単なる修繕（リフォーム）ではなく、暮らしの質を底上げする再構築を指します。家族の動線、収納計画、温熱環境、採光計画までを包括的に最適化することにより、現在の住まい方に適した空間を生み出すのが特徴で、断熱・耐震・床下・屋根裏・壁の中など"見えない部分"の配管や電気設備の更新も含めて進めます。
立派な梁、庭の眺め、使い込まれた素材、立地の良さ、広さなど、既存の気に入っている部分を活かしつつ、現在の暮らしに適合させる。表層改修からスケルトンまで、目的と優先度で設計範囲を決めることができる柔軟性も、リノベーションの魅力といえます。
リノベーション費用が把握しにくい理由
リノベーション費用が新築と違って把握しにくいのには、明確な理由があります。理由�� 建物の状態が一棟ごとに異なる
同じ築年数でも、湿気・日当たり・施工時の仕様によって劣化の進み方はまったく違います。構造体や基礎をどこまで補修するかで、費用は大きく変動。隠れた部分の状態は実際に解体してみないと分からないケースも多く、想定外の追加工事が発生することもあります。
理由�� 改修範囲が人によって異なる
内装中心の表層リノベーションから、断熱・耐震・配管を含む全面改修まで。部分的なリノベーションから家まるごとフルリノベーションまで。リノベーションの幅は非常に広く、「暮らしの不便を解消する」だけなのか、「暮らしの質を向上させる」ところまで行うのかで、総額は大きく変わります。
理由�� 素材・設備・仕上げの選択肢が多い
床材ひとつ、窓のグレードひとつで見積が変わります。同じ金額でも、どこにコストをかけるかで満足度は大きく変わるのが現実です。重要なのは、「見えない部分にかける費用」が、長い目で見た安心を生むということ。暮らしの質を上げるための投資が、結果的に費用対効果を高めることにつながります。
関連記事：リノベでありがちな“想定外”を小さくする『住まい診断』
一軒家のリノベーション費用相場と内訳
リノベーションの費用は「どこまでやるか」で決まります。外装や水まわり中心の改修で済むこともあれば、構造補強や断熱、間取りの変更まで踏み込むことで新築に近い金額になることもあります。
しかし、それを"価値あるものを活かす投資"と考えるお客様もいらっしゃいます。
主な費用内訳
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解体・撤去工事 | 既存設備・内装材の撤去、廃材処理 |
| 構造補修・耐震補強 | 基礎・柱・梁の補修、耐震性向上工事 |
| 断熱・気密改修 | 壁・天井・床の断熱材施工、気密性向上 |
| 外装・白蟻対策 | 外壁・屋根・白蟻対策など外回りの工事 |
| 給排水・電気・空調設備更新 | 配管・配線・設備機器の全面更新 |
| 住宅設備更新 | キッチン・浴室・トイレ・洗面台の交換 |
| 内装仕上げ・造作・建具 | 床・壁・天井仕上げ、造作家具、建具工事 |
| 設計費・管理費・諸経費 | 設計料、現場管理費、各種申請費用 |
費用を判断するポイントとして、「性能」か「デザイン」か「暮らし」か、何を重視するのか目的を明確にすることが大切です。予算は"上限"ではなく"計画基準"として設定し、見積を比較する際は"仕様の中身"をしっかり確認しましょう。
永家舎では、「家族がどう暮らしたいか」を最優先に費用配分を考えます。家族の時間を豊かにする間取りや動線、素材選び。同じ予算でも、ご家族それぞれの価値観に合わせて"本当に必要な部分"にメリハリをつけることが、満足度の高いリノベーションにつながります。
リノベーション vs 建て替え｜判断基準と費用比較
リノベーションか建て替えかは「どちらが得か」ではなく、「どちらが目的に合うか」で考えることが重要です。
建て替えの特徴
建て替えは構造から一新でき、間取りの自由度も高いのが特徴。一方で、解体・設計・基礎からの新築費用がかかり、総額は高くなりがちです。また、法規制（建ぺい率・高さ制限）によっては、同規模で再建できないケースもあることを考慮する必要があります。
リノベーションの特徴
リノベーションは既存の構造を活かすことで、建築コストと廃材を抑えられます。工期も短く、税金面（固定資産税・不動産取得税）の負担も軽いのがメリット。耐震・断熱性能を向上すれば、新築に劣らない快適さを実現できます。
判断の目安としては、
・構造体が健全ならリノベーションが有利
・法規制で再建築が難しい土地ならリノベーションが現実的
・性能や間取りを根本から変えたいなら建て替えも選択肢
このような感じになりますが、最終的には予算と「やりたいこと」のバランス。そして、その建物にどれだけ思い入れがあるかということになります。
福井県では、豪雪地域特有の頑丈な梁組みを持つ古い家屋が多く見られます。こうした構造的な価値は、建て替えてしまうと失われてしまうもの。また、代々受け継がれてきた庭木や石組み、近隣とのつながりといった"暮らしの財産"も、リノベーションなら継承できます。
永家舎では、築100年を超える古民家を現代の暮らしに適した住まいへと再生した事例がいくつもあります。古材の美しさを活かしながら、現代的な暮らしやすさを付加する。
お客様の価値観に寄り添い、「思い入れのあるもの」「まだ使えるもの」をいかにして残すか。費用ではなく、"これからの暮らしをどうしたいか"を軸に提案することを永家舎では大切にしています。
築年数だけでは判断できない部分も多いので（周辺環境や住み方によって老朽化の度合いは変わります）、まずは現地を見て判断することが何より重要です。
実家をリノベーションする3つのコストメリット
実家リノベーションは、中古住宅購入＋リノベーションよりも有利になるケースが多いのが特徴です。
1. 土地・建物の購入費が不要
実家を活用すれば土地購入費がかからない分、リノベーションにより多くの費用を割くことができます。同規模の中古住宅を購入してリノベーションする場合より、1000万円単位で差が出ることも珍しくありません。
福井県内でも、立地の良い住宅地で同等の物件を購入しようとすると、土地だけで1500万円を超えるケースも。その分の費用を改修に回すことで、より暮らしやすい住環境を実現できます。
2. 法的・構造的な安心感
家の履歴や施工業者が分かっているため、劣化や構造の状態を把握しやすいのは大きな利点。未知の中古物件よりリスクが少なく、計画的な改修を進められます。特に重要なのは、これまでのメンテナンス状況や増改築の履歴。「どこを直したか」「いつ屋根を塗り替えたか」といった情報があれば、優先順位を明確にして無駄のないリノベーション計画が立てられます。また、近隣との関係性も引き継げるため、居住後も安心できる環境で生活できます。
3. 相続・将来設計との両立
将来の相続税評価を下げながら、親世帯との同居・近居にもつながります。"住みながら価値を残す"という点で、資産活用にもなるでしょう。リノベーション費用は建物の評価額に直接反映されにくく、税務上も有利。さらに、親御さんの介護が必要になった際の住環境も同時に整備できるため、将来の不安も軽減されます。
近年は、親世帯の家をリノベーションして子世帯が住む「二世帯リノベーション」も増加しています。断熱・動線・収納を整え、世代を超えて快適に暮らせる設計が好評です。思い出を次世代へつなぐという意味でも、実家リノベーションは特別な価値を持っています。
関連記事：縁ある家を現代に蘇らせる、中古住宅リノベーション
リノベーション費用を抑える工夫・チェックポイント
設計・素材・進め方を工夫すれば、費用対効果はぐっと上がります。
ゾーンで分ける
使用頻度に合わせて、どれだけ手を加えるかをゾーンで分けることが効果的です。
使用頻度の高いLDKと水まわりをまとめてリノベーションし、古くなった個室は内装を変えてきれいに一新。価値はあるが、使用頻度の高くない和室（客間・仏間など）はそのまま残す。そういった具合に、前面を改修するのではなく、大きな家の中に"快適ゾーン"をつくる発想です。
永家舎では「家族が一番長く過ごす場所から整える」ことをおすすめしています。リビング周辺の断熱性能を高め、キッチンまわりの動線を改善するだけでも、日々の暮らしは格段に快適になるはずです。
配管を動かさない
水まわりの位置を変えなければ、給排水や電気配線といった工事が発生しないので、その分の工事費を削減できます。
ただし、それによって間取り変更による可能性を狭めてしまう場合もあるので注意が必要。配管を動かしても、それほど価格に影響しないケースもあるため、事前調査をしっかり行い、費用と快適性のバランスを考えた設計をすることが大切です。特に築年数の古い家では、配管自体の交換が必要な場合も多く、この機会に位置変更も含めて検討する価値があります。
段階的な改修も検討
すべてを一度に完成させず、段階的に改修することで資金計画を柔軟にできます。例えば、まずは間取り、次に外観といったように区画で分けることも可能。
時間をかけて暮らしながら必要な改修を見極められるのもメリット。将来の家族構成やライフスタイルに合わせ、ムリなくリノベーションできます。結果的に「本当に必要な部分だけに投資できる」という安心感が生まれるでしょう。ただし、足場代などの共通費用が重複し、総コストが上がる可能性もあることは考慮が必要です。
リノベーション費用とローン活用
現実的な資金計画を立てるために、ローンの種類と特徴を理解しておきましょう。
一般的には次に挙げる3つのローンがあり、永家舎のお客様の場合は住宅ローンを使う方が多い傾向にあります。
住宅ローン
住宅ローンは新築や購入だけでなく、既存の持ち家をリノベーションする場合にも利用可能です。家や土地を担保にすることで、長期・低金利での借入ができるのが特徴。中古住宅を購入してリノベーションする場合も、「購入＋改修」をまとめて借りられる一体型商品があります。メリット: 金利が低く、返済期間も最長35年まで設定できるため、大規模改修に向いています。担保設定や登記が必要ですが、総合的な金利負担は最も軽いものです。
リフォームローン
担保を必要とせず、スピーディーに融資を受けられるのが特徴。金利は住宅ローンよりやや高めですが、審査が早く、少額リノベーション（300〜1000万円前後）に向いています。メリット: 手続きが簡単で、工事の着工時期に合わせやすいこと。担保設定を避けたい人や、借入を短期で完済したい人に適しています。
グリーンリフォームローン
断熱改修・高効率設備導入など、省エネ性能を高めるリノベーションを対象とした制度です。住宅金融支援機構の『グリーンリフォームローン』や、国の補助金制度と併用できる場合もあります。メリット: 金利優遇が受けられ、環境性能向上に伴う補助金と組み合わせることで実質負担を軽減できること。省エネリノベーションや断熱改修を検討する人に有利な選択肢です。
重要なのは「何を優先するか」
性能を優先するのか、デザインを優先するのか。最終的に"いくらかかるか"は、「何を大切にしたいか」で決まるものです。
リノベーション費用は「価値観の反映」といえるでしょう。見えない部分に投資することで、将来のメンテナンス費を抑えられることもあります。「家族がどう暮らしたいか」を基準に費用配分を考えることが、最も満足度を高める道です。
"費用を抑える"とは、価値を見極めて選ぶこと。永家舎では「したい暮らし」が「ずっと続く」ことを前提に、無駄のない設計を心がけています。
関連記事：暮らしの価値を高めるリノベーション
まとめ
リノベーション費用は"目的次第"。ただし、設計の工夫や補助金を活用することで、費用を抑えることは十分可能です。永家舎は、「直す」ではなく「暮らしを磨く」ためのリノベーションを提案。福井の気候を知る地域工務店として、コストを無駄に使わない、価値ある再生をともに考えていきます。
家は単なる箱ではなく、そこで営まれる暮らしそのもの。リノベーションを通じて、その暮らしがより豊かになるよう、永家舎は丁寧にサポートいたします。
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