リノベコラムRENOVATION COLUMN

堀江 敏信

住まいと、住まい手も健康にする「住宅医」

建築デザイナー:堀江 敏信

“住宅医”というものをご存知でしょうか?


“住宅医”とは、ただ建物の状態を調べるだけでなく、
「治す力」も兼ね備えた建築士のことです。

2018年3月現在、全国で87名が登録されています。
(一般社団法人住宅医協会 公認)

 

近年、既存のストック住宅が増え
中古住宅の売買も増えてきています。

それに伴い、現況建物調査診断(インスペクション)が
義務化されました。

 
 

一般的な「調査診断」と呼ばれるものは、
「劣化」の調査診断が主になっています。
 

一方で、“住宅医”による調査診断とは、
既存住宅や中古住宅における、

「劣化」 「耐震」 「温熱(省エネ)」 「維持管理」

「バリアフリー(高齢者対策)」 「火災時の安全性」

の6項目について、詳細に調査を行うことをいいます。
 

*改修実績報告シート(抜粋)

 

これら6項目を定量化・数値化することで、国が定める
住宅性能表示制度を指標とし、
既存住宅の性能を「見える化」しています。

さらに現状の性能値から、どこがどう改善するかを
「見える化」し提案していきます。
 



           

*赤字…ビフォー/青字…アフターの数値

*「省エネルギー性」の数値はデータなし、基準数値は達成

 

 

日本の住宅は長い歴史を重ねる中、色々な災害を受け
乗り越えてきました。

そこに職人の技能と工学的な指針が加わえられ、
現代の木造住宅が築き上げられてきています。

そこでこれからは、つくる力に加えて「治す力」も
養わなければいけません。

 
 

「新築したほうが楽ですよ。きれいになりますよ。」
と話しているのをよく耳にします。

問題を抱える住まい手に説明する際に使う
決まり文句です。
 

本来、建築関係者は家をつくり、その家を治すことが
仕事のはずですが、多くの方が壊すことを勧めています。

家族の家に対する思い入れより、面倒臭さや手軽さが
最優先で家づくりが左右されるのは悲しい現実です。
 

環境保全の観点からも、カーボンストック
(「壊して燃やす=二酸化炭素を排出する」のではなく、
再度建築材として活用する)
は有意義な事だと思われます。

 


 

家を治すことより壊すことを勧める世の中に
しないために、1軒でも多くの家を助け、治療方法を
見つけ施すことが住宅医の使命だと言えるのです。

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