家族のかたちが多様化し、未婚率や離婚率が上昇するなか、住まいのあり方も新たな局面を迎えています。
夫婦と子どもの単世帯家族。親世帯、子世帯と一緒に暮らす多世帯家族。未婚または配偶者に先立たれた一人暮らしの方もいれば、一度は家を離れたものの再び親元へ帰って来るワーキングシングルも、最近ではめずらしくありません。
二世帯同居の場合、親世帯と子世帯の距離感が重要になりますが、これが娘または息子が孫を連れて戻ってきたパターンになると、事情は少し違ってきます。
二世帯とはいえ、もともとの親子関係に孫が加わるだけなので、配偶者のいる二世帯同居に比べるとそれほど気をつかう必要がありません。むしろ、距離が近いほど助け合いもしやすくなります。
多くの場合、子ども部屋はそのまま残されているので、リノベーションしなくても住める場合がほとんどです。
それでも、「戻ってきた子どもと孫のために何かしてあげたい」と思うのが親心。
まず、見直したいのが“家族で過ごす時間”。
LDKは家族の絆を深めるうえで大切な場所。ゆったりとくつろげるソファを置ける、広いリビング。自然光がたっぷり入る、大きな窓。いつでも誰かの気配を感じられる、開放的な空間。
そんな心地よいLDKなら自然と家族が集まり、何気ない会話にも花が咲きます。
一方で、“個々のプライバシー”も尊重しなければありません。
一時的な帰省とは違いますから、いつまでも客間で寝起きするわけにはいきませんよね。最低でも、子どもや孫が引け目を感じず過ごせるような個室はきちんと整えてあげたいところです。
ただし、コスト配分を考えたとき、すべてを一新するというのが難しい場合もあるでしょう。
そんなときは、パブリックなスペースを充実させるのか、個の空間を優先させるのか、現状と未来の暮らしを見据えながら、臨機応変に計画することが求められます。
今、親世帯とワーキングシングルの二世帯同居は増加傾向にあります。戸建てに住む単身者も増えているといいます。
時代の変化とともに古い常識は塗り替えられ、家族の形が多様化するとともに住まいの形も多様化していきます。
そのように考えると、このような新しい家族の形に合わせるためのリフォーム・リノベーションは、今後ますます増えていくのかもしれません。